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2008年 03月 30日

彫刻

ジュエリーを始める前、大学では彫刻を専攻していました。

どうして彫刻を専攻しようと思ったのか、今ではさっぱり覚えていません。
美大受験のための予備校に通って、高校3年の時に専攻をしぼる時、ずっと油絵に進もうと思っていたのが、突然のように彫刻科を選んでいた。。。というのが正しいです。

洋画やデザイン科は人気も高いし、彫刻ってマイナーっぽくて、ちょっと格好いいかもって思ったのかもしれません。

大学で、石を彫っていた、という事実がとても不思議に思えることがあります。
あの頃は、ドカジャンに安全靴、頭にタオルまいて、道路工事のおじさんみたいな格好でズカズカ歩くことを最高にクールだと思ってました(笑)
大学は八王子の山の中にあって、野外で、石を彫る。仲間がいて、くだらない話をしたり、よく分からない議論をしたり、みんな彫刻をやっていて、みんな10年後の自分なんて全く想像もしてなかった。時間の止まったような、とてもとても不思議な空間でした。

ジュエリーを始めてから、だんだんと彫刻の感覚は自分の中から薄れていって、やっぱりどうしても表面の仕事。
可愛い、格好いいだけのものなんて、最低と思いながら、どうしても表面を追う仕事が増えてしまって、アートジュエリーと呼びながらも、自分でも一体どこまでアートなんだか。。。と、これは一体何なんだ?と、ずっとずっと疑問に思ってきました。
(し、今も思っています)

ジュエリーが最高に楽しくて、闇雲にただただ作りたいという願望だけで動けたのは2年前くらいまでで、それから段々と疑問が湧いて来たのです。

今年に入ってからも、ずーっともやもやと、これでいいのかな。と思いながら、ふっきれず、自分が本当に作りたいものを作っているのか、ギャラリーが求めているものを作っているんじゃないか、アートと商業の間で行ったり来たり。
いっそ、私はジュエリーなんかやめてしまって、fine art をやりたいのでは。と思ったり。
やっぱり、彫刻をやっていた時の記憶が少し自分の中にあるせいか、なんだか私はfine art コンプレックスを持っていて、自分が作っているものが純粋芸術じゃないことを、どこかで、とても嫌だと思っているのです。

でも、だから純粋芸術って何?と思ったりもしていました。

つい2週間前のことです。
駅前の本屋で、予備校時代の友達とばったり会いました。
なんとも、12年ぶりの再会です。
なんとなく、大学に入ってからやっと自分の人生が始まったくらいの感覚の私にとって、大学以前が存在していることが不思議に思えるほど、それは遠い昔のことのように思えました。

その時、彼女から、当時予備校で教えてくださっていた先生が今では素晴らしい彫刻家になっていると聞きました。

早速家に帰ってから、ネットで検索してみると、色々な作品が見ることができました。

その大理石で彫られた彫刻は、あまりにも繊細で、あまりにも美しく、それ以上に、その彫刻の向こう側、作家の精神性を、その生き方を、目の当たりにするような凄い作品で、私は釘付けになり、胸を打たれ、動けなくなり、泣きたくなりました。

作品の鑑賞方法なんて、私は全然分かりませんが、ズドンと何かに叩かれるような時は、もう容赦ないのだから、それは鑑賞するなんて、呑気な表現ではないです。

それから、とても優しい気持ちになりました。何かが私の中に舞い降りて来たような気がして、神聖な気持ちになりました。

本物のfine art に出会えた。。。。と思いました。

それは、痛々しいほどにストイックな完全な美でした。

あまりにもシンプルな衝撃でありながら、説明できなくて、ずっともどかしく思っていますが、それこそ純粋芸術でした。


それから、まず「私には、出来ない!」と思い、でも自分が憧れてやまない美が、そこにあり、ただひれ伏すことしか出来ないように思いました。

そして、初心に戻りました。

私はこの、ひたむきさをどこで置いて来てしまったのだろう。。。と。
苦しくても、自分と向かい合い続けるということ。
どこまでも内面に入って行くということ。
作品の芯からエネルギーが生まれてくるまで。

彫刻で学んだことであったような気がするのに、それはもうとてつもなく前のことのようでした。もしくは、そんな事学んでなくて、ただこの作品から受けた印象だったのかもしれません。

例えジュエリーだとしても、目指すべき精神性はここにある。と思いました。


その後、運良く友達から作家の連絡先を教えてもらい、13年ぶりにコンタクトを取りました。

作品にとても感動したこと、ジュエリーに疑問を持っている事、色々書いたダラダラと長いメールに、先生は本当に優しく答えてくれました。

「自分のいる場所を精一杯疑って何か「しずく」みたいなものを搾り出せばいい」

そのストイックな答えに私は泣きじゃくってしまいました。

そんな凄い事言ってもらえるほど、私は何もやっていない。。。。こんなところに到底到達していない。と思って。


何かが私の中で明らかに変わりました。

それは、決意のようなものでした。なんだか分からないけど、きちんとやっていこう。
私は、向かい合う事さえしてなかったんじゃないか。と。

向かい合うと、本当辛いぐらい、適当な私の仕事。。。
なんて、やっつけ仕事が多いんだろう。。。

でも、やってみようと思います。
私の、思うジュエリーを。もうちょっと。

そう、思いました。


本当に、この素晴らしい再会をありがとうございます。

作家のお名前は森淳一さん。
私が見たのは、このホームページです。

4/19~7/6 熊本現代美術館でグループ展。11月には青山で個展をされるそうです。
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by aasaag | 2008-03-30 14:02


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