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asagi maeda life work blog

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2006年 01月 19日

素直になるということ

高校生の頃、本当に本当に大好きな友達がいた。
女の子なんだけど、もう恋愛感情と呼べるくらいasagiはその子のことが好きで、私たちはとんでもなく仲良しで、毎日会えるのに、毎日手紙を交換した。
手紙の内容は様々だったけど、ありとあらゆること、色んなことに対する自分の考えとか、大真面目な内容だった。

asagiはその子に手紙を書くのが大好きだったので、毎日授業中に集中して手紙を書いて、奇麗な文字で一生懸命頭を整理させながら、なるべく的確な言葉をさがして、なんとかその子に好かれようって一生懸命だった。
一方彼女からの手紙はひどく汚い字で、線からはみだしてるし、汚すぎて読めない日もあった。どちらかというと、走り書きのような手紙だった。
ある時、その手紙にはこう書かれていた。

「汚い字でごめんね。奇麗な字も書けるんだけど、考えるスピードで字を書くから汚くなっちゃうの。」

asagiはものすごい衝撃を受けた。

その日まで私は、文章はよく練られてて、奇麗で読みやすく相手に伝わるように書かなくてはいけない。と思っていたからだ。
勿論asagiはその子の事が大好きだったので、すぐに真似を始めた。
考えるスピードで、書く。。。。。書けなかった。

それで、asagiが気がついた事は、それまで手紙を書く時には相手に伝わりやすいように奇麗に整理されたものを書いてる、と思ってたけど、それは実は違って、たまには難しい言葉や熟語も駆使して、ちょっと頭いいところも見せてみたり、ちょっと感動させちゃったりして、asagiちゃんってすごいんじゃん、と思ってもらうために書いてたんだ、ということ。
何もかもは、asagiちゃんすごい。が聞きたくて、やってたことだったんだ。
で、実際彼女はasagiちゃん、すごい。って言ってくれたし、それが満足だった。
私が手紙に書いてた事は、私の本当の言葉ではなく、奇麗に塗り替えられた素晴らしい他人の言葉だった。それに気づいて愕然とした。

だから、それから変わろうと思った。
本当に100%自分が思ってる事以外は書かない。と決めた。
文章の中の「asagiちゃんすごいと言われたい要素」を全て排除しようと思った。
それからひたすら、思った事を思った速度で書くという練習を続けた。いつも、ノートを持ち歩いて、何かを感じた時に、なるべく出来る限り思った通りにノートに書き留める作業。
そしたら、「asagiちゃん、つまらない」手紙になってしまった。
しばらくしてから、彼女に変わったねって言われた。人間が小さくなった。みたいな。
でも実は私は小さくなったわけではなくて、もとから小さかったのでした。
asagiの中ではより素直にかけてるので進歩だったのに、彼女にそう言われて、ものすごくショックだった。塗り固めた私を好きだったんだなーって。

でも、その頃から私と彼女は全然違う方向を向き始め、彼女は新興宗教にはまって、全然別人になってしまった。
私は彼女のことが本当に好きだったので、それは本当に本当につらかったけど、でも彼女と出会えて異常なまでの手紙交換をして、それで素直になることを学べたのだから、本当感謝なんだけど。

感じた事をノートに書き留める作業は何年も続いて、高校の時からNYに行くまで。
NYで英語話してたら、日本語が上手に書けなくなって止めちゃったんだけど。
今もたまに書く時もある。
ただ、本当の話、よく見られたい願望を排除して文を書いていくと、好きか嫌いかと、欲だけが残る。眠い、食べたい、愛されたい、みたいな。
それでしばらくしてから、何も考えなくなった。ただ、思ってる事を書き取る作業。
その作業の中から、言葉で表せないものを作って来たし、今もそれに近い事をしてる。

このBLOGを読んでくれた人に、素直だね〜って言ってもらえると、すごく嬉しい。
いかに素直になれるかっていうのはasagiの永遠のゲームだと思ってる。
だから、たまらなく恥ずかしいことも沢山あるし、傷つきやすいし、だから弱いと言われる。でも、鎧を着て頑丈に強くもなれるけど、多分社会で行きて行く為には、それは必要なことなんだけど、頑張って裸になってきたのに、鎧を着てしまったら意味がない。このゲームには、終わりがなくて、やってる人だけが分かる快感がある。
ある時、thom.e.yorkのインタビューを読んだ時に、全く同じ事が書かれてて、だから私はthomが好きなんだなと思った。
素直じゃない部分なんて、何の意味もないから。

by aasaag | 2006-01-19 14:11


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